The 4400: Welcome to Promise City

4400 未知からの生還者 オリジナル小説 第3弾

ダニー・ファレルの能力によって、シアトルに撒き散らされたウィルス型プロマイシン。それに適応できる者は超能力を得るが、そうでない者は凄惨な死を迎える。その結果、約9,000人が新たに能力者となったが、同じ数の尊い命が失われもした。能力者による理想郷を創ろうとするジョーダン・コリアーとその信奉者たちは、この事件を「大躍進」と呼び、愛する者を失った人々は、生死を分ける確率から、それを「フィフティーフィフティー」と呼んだ。

それから2ヶ月。古い友人に呼び出され、密会に向かうNTAC捜査官のトム・ボールドウィン。その相手とは、かつては上司でもあったが、今では全く信用の置けなくなったデニス・ライランド。シアトルを占拠し、プロミス・シティーと名付けたコリアーによって市外に追放されてしまったライランドは、トムを利用してコリアーを失墜させようと企んでいた。もちろん、NTAC捜査官としてのトムにとってはコリアーは犯罪者ではあるが、息子カイルがコリアーと行動を共にしていると言う、一個人としては複雑な立場に置かれていた。そのため、ライランドなどに利用されまいと協力を拒むトムだったが、それを予測していたライランドは、トムをその気にさせる魔法の言葉を発する。「ダニーの遺体がどうなったか調べてみろ」と…。

甥っ子であるダニーを安らかに眠らせてやりたいトムだが、調査のためには墓を掘り起こさなければならない。ダニーの兄ショーンの許可を得るため、相棒のダイアナ・スクーリスと共に4400センターに向かうトム。9,000人もの命を奪ったダニーが弟だと知られ、政治家への道が断たれてしまったショーンは、以前のようにセンターで人々の治療を続けていた。トムとショーンが話している間に、センター内の研究室を訪ねてみるダイアナ。ケヴィン・バーコフ博士がダニーの遺体について、何かを知っているのでないかと勘付いたのだ。最初は否定していたケヴィンだが、問い詰められると、埋葬前にダニーの血液サンプルを採ったと認めた。厳重に保管してあり、問題は無いと答えるケヴィンだが、いざ保管庫を開けてみると、サンプルは全て盗まれてしまっていた。

墓を掘り起こしてみると、棺に納められていたのはダニーではなく全くの別人だった。担当した葬儀社を訪ねると、社長のグレイソンは、当時は9,000人もの人が亡くなり混乱していたため、手違いがあったのだろうと説明するが、それを怪しんだトムとダイアナは社内を捜索し、ダニーの遺体を発見。だが、そこに現れた能力者によって足止めされ、その隙にグレイソンに逃げられてしまう。自由に動けるようになった二人は、さらに驚くべきものを目にする。なんと、ダニーの遺体は一体だけではなかったのだ。調べてみると、複数のダニーの遺体は全てクローンの失敗作だと分かる。何者かがダニーのクローンを創り、再び「大躍進」を起こそうとしているのでは? その何者かに思い当たる人物は、やはりあの男しかいなかった。

コリアーに面会を求め、オフィスに押しかけるトムたち。コリアーたちは、以前のように地下の隠れ家ではなく、皮肉にもライランドがいたハスペル・コーポレーションのビルを拠点としていた。コリアーに真実を話させるため、ダイアナは妹のエイプリルも連れて来ていたが、その能力を知るコリアーによって、エイプリルだけが門前払いを食らう。コリアーは確かに全人類がプロマイシンを打つことを望んではいるが、決して強制はしないという考えに変わりはないと述べるが、トムとダイアナだけでは、それが本心かどうかを確かめる術は無かった。その後、自分だけが除け者にされて面白くなかったエイプリルは、集会の群集に紛れてコリアーに近づき、ダニーの遺体をどうしたのかと問いかけるが…。

一方、ダイアナの養女マイアは獄中のリチャード・タイラーが看守に殺されてしまう予知夢を見る。リチャードを救うため、マイアはダイアナに隠れてプロミス・シティーにいる友人に連絡を取った。やがて、マイアが見た予知夢が現実になろうとしたその時、ちょうど収監されたばかりの男が能力を使ってリチャードを無事に脱獄させる。

リチャードが連れて来られた静かな別荘で待っていたのはコリアーだった。それまでの関係からコリアーを信用していないリチャードは警戒するが、それを見透かしたようにコリアーはここは特別な場所だと話し始める。そう、ここはリチャードの娘イザベルが亡くなった場所だったのだ。一時は敵対していたものの、イザベルは最後にコリアーとトムの命を救ってくれ、英雄として亡くなった。そしてイザベルの命を奪ったのは、未来から来たスパイである刻印ある者たちなのだと。当時、すでに投獄されていたため、娘の死の真相を今まで知らなかったリチャードは、改めて涙する。そんなリチャードにコリアーが手渡したのは、トムから貰った刻印ある者たちのリストだった。暗殺チームのリーダーとなったリチャードは、娘の復讐のため、刻印ある者たちを狩り始める…。

しかし、超能力を持たない刻印ある者たちではあったが、自分たちがただ殺されるのを手をこまねいて待っているだけではなかった。秘密会議に生き残り全員が集まっていると見せかけ罠を張り、逆にリチャードたちを捕らえることに成功する。監禁されたリチャードの前に現れたのはライランドだった。今度はライランドに拷問されるリチャードの予知夢を見たマイアは、再びその危機を友人に知らせる。

トムの恋人であり、NTACシアトル支局長でもあるミーガン・ドイルは、部下のマルコから、密かに自宅に来て欲しいと呼び出しを受ける。一体どんな用かと行ってみると、マルコと同じく部下のギャリティー、そしてマイア、テス、コリアーが待っていた。コリアーはリチャードを救うためにミーガンらの協力を要請する。刻印ある者たちがライランドと手を組んだらしきこと、そしてどこか秘密の場所にリチャードが監禁されていると。リチャードとは面識が無いものの、トムやダイアナからその人となりを聞き、悪人ではないことを知っているミーガンは、トムが刻印ある者たちに利用された辛い経験もあることから、仕方なくではあるがコリアーに協力を約束。トムとダイアナは巻き込まず、自分たち能力者だけのチームでリチャード救出を試みる…。

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約1年前にオリジナル小説の第1弾『The 4400: The Vesuvius Prophecy』を紹介しましたが、第2弾はすっ飛ばして今回は第3弾です。第2弾はシーズン2の頃の話だそうで、あまり興味がなく未読なので。

で、この第3弾はTVシリーズのあとの話になっています。上の紹介は途中までなので、トムとダイアナはダニーのクローンを創ろうとしている黒幕を突き止められるのか? ギャリティーしか戦闘員のいないミーガン・チームはリチャードを救出できるのか? 刻印ある者たちの次なる一手は?…などは実際に読んで確かめて下さいませ。